自己肯定感を伸ばす子どもへの言葉かけのポイントは?声かけ例やNG例も解説

自己肯定感を伸ばす子どもへの言葉かけのポイントは?声かけ例やNG例も解説
子どもにどう声をかければいいのか迷ったり、叱りすぎていないか不安になったり、正しいほめ方に自信が持てないという悩みを抱える親も少なくありません。

自己肯定感は乳幼児期から少しずつ育まれ、日々の親の言葉かけが大きな役割を果たします。

この記事では、自己肯定感を伸ばすための声かけのポイントや具体例避けたい言葉を解説します。

声かけ次第で子どもの自己肯定感を育めることを理解しましょう。

言葉かけが子どもに与える影響は?

おもちゃで遊ぶ赤ちゃん
子どもへの言葉かけは、単なる会話以上の意味を持っています。

ポジティブな声かけは脳の神経回路を刺激し、言語能力や思考力の発達を助けることがわかっています。

また、優しい言葉を受け取ることで脳内ではドーパミンが分泌され、安心感や幸福感が育まれるのです。

こうした経験は挑戦する気持ちや自分を信じる力につながり、自己肯定感を大きく育てます。

アルバート・バンデューラの社会的学習理論でも示されるように、子どもは大人の言動を観察し、模倣することで学びます。そのため、親の言葉かけは社会性やコミュニケーション能力の土台をかたちづくる要素にもなるのです。

つまり、日常的な声かけは子どもの笑顔や行動だけでなく、一生を支える心の基盤にも直結します。だからこそ、どのような言葉を選ぶかがとても大切だといえるでしょう。

子どもの自己肯定感を伸ばす言葉かけのポイント

仲良し親子
ほめ方や叱り方に迷い、不安を感じている親も少なくありません。ここでは、日常のなかで意識できる言葉かけのポイントを紹介します。

目を見る・笑顔で接する・気持ちを受け止める・感謝を伝える・結果だけでなく過程を認めるなどの行動は、子どもの安心感や挑戦する力を育てます。

ここを読んだ後には、これなら自分でもできると思え、言葉かけに自信が芽生えるはずです。

子どもの目を見て言葉をかける

子どもに声をかけるときは、目を見て話すことが大切です。特に乳児期の子どもは、言葉そのものよりもアイコンタクトやスキンシップから安心感を得ています。

大人でも相手が目を見ずに話すと不安になるように、子どもも同じように理解されているのか疑問を抱いてしまいます。

さらに子どもの視野は大人より狭く、垂直方向で約70度、水平方向で約90度しかありません。そのため声をかけるときは視界に入り、子どもの目線にあわせてしゃがむことが重要です。

頭上から声をかけると威圧感を与え、表情も伝わりにくくなります。

家事をしながらの声かけは便利ですが、子どもには響きにくいです。言葉の量よりも質を意識し、短いひと言でも心を込めて伝えることが、自己肯定感を育む基盤です。

笑顔で言葉をかける

笑顔で見つめるママ
子どもに安心感を与えるためには、まず笑顔で言葉をかけることが基本です。毎日の「おはよう」「おやすみ」のあいさつを明るい表情で交わすだけでも、子どもは自分は受け入れられていると感じやすくなります。

さらに「楽しかったね」「びっくりしたね」などの共感の言葉を添えることで、気持ちを理解してもらえたという信頼感が芽生えます。

会話の際には積極的に話を聞き、うなずきや小さなリアクションを大切にしましょう。それだけで子どもは自分の気持ちが尊重されていると受け取り、自己肯定感が育ちます。

新しいことに挑戦したときは「それいいね」「楽しそうだね」と笑顔で応えると、自分の選択を認めてもらえた安心感につながります。

否定的な言葉を繰り返すと自分はだめだと思いやすいため、できる限り肯定的な声かけを意識することが重要です。

笑顔と温かい言葉の積み重ねこそ、子どもの自己肯定感を育てる土台になります。

子どもの言葉を受け止める

子どもが自分の気持ちを表現したときに、まずはその言葉をしっかり受け止めることが大切です。

「悔しかったんだね」「うれしかったね」と代弁してあげることで、子どもは自分の感情を言葉で理解しやすくなります。

特に0歳児は泣いたり喃語で伝えたりする時期であり「鼻水が出たね」「気持ち悪いからきれいにしようね」と具体的に言葉を添えることで、安心感を得られるでしょう。

1歳頃になると自分でやりたい思いが強まりますが、言葉にできないもどかしさがあります。

その際に「いやだったね」「うれしかったね」と受け止めることで安心感につながります。

感謝を伝える

抱きしめる
子どもがお手伝いをしてくれたり、優しい行動を見せてくれたりしたときには「ありがとう」と感謝を伝えることが大切です。

親の役に立てたことを認めてもらえると、子どもは自分は必要とされていると実感し、心が満たされます。「すごく助かったよ」「とてもうれしいよ」などの言葉を添えると、その気持ちはさらに伝わりやすくなるでしょう。

感謝の言葉は褒めることと同じ効果を持ち、子どもの自己肯定感を高める力があります。また繰り返し感謝を伝える経験を通じて、子ども自身も「ありがとう」といえるようになり、人との関わりのなかで感謝を自然に表現できるようになります。

大人が率先してお礼を伝える姿を見せることで、子どもたちは感謝の大切さを学び、周囲との信頼関係を築く力を身につけていくのです。

うまくできたことをしっかりほめる

褒める
子どもが何かをうまくできたときは、その場ですぐに褒めることが大切です。時間が経ってから褒めると、子どもは何のことだろう?と混乱し、褒められる効果が薄れてしまうことがあります。

小さなことでも見逃さず、タイミングよく声をかけましょう。

また、褒める際はできるだけ具体的に伝えることが効果的です。

「頑張ったね」だけでは何がすごいのか伝わりにくいため「逆上がりができるようになったね。毎日一生懸命練習していてかっこよかったよ」と、何をどう頑張ったのかを明確に伝えましょう。そうすると、子どもは自分の行動が認められたと実感できます。

さらに「〇〇ちゃん、さっき△△くんをなぐさめていたね。優しくてすてきだったよ」と、具体的な行動や気持ちを添えると、自己肯定感を育むことにつながります。

褒めるときは、自分が子どもの頃にどのような褒められ方をうれしく感じたかを思い出すと、より温かい声かけができるでしょう。

うまくできなかった場合も過程をほめる

子どもを褒めるときは、結果だけでなく頑張った過程をしっかり認めることが大切です。

かけっこで1位になったり逆上がりができるようになったりすると、つい結果だけに注目してしまいがちですよね。

子どもにとって本当に価値があるのは挑戦し続けた過程や努力の積み重ねです。結果ばかりを褒めると、いい結果を出さなければとプレッシャーになり、自己肯定感が育ちにくくなります。

過程を具体的に認めてあげる声かけを重ねることで、子どもは失敗しても前向きに挑戦できる気持ちを持ちやすくなり、自己肯定感が自然に育っていきます。

子どもの自己肯定感を伸ばす具体的な言葉かけ例

おもちゃをみる子どもたち
子どもの自己肯定感を伸ばすには、日常のなかでどのような言葉をかけるかがとても大切です。

例えば下記のような言葉は努力や存在そのものを認めるメッセージになります。

・今日もありがとう
・頑張ったね
・できなくても挑戦してえらいね

結果ではなく成長の過程を評価する声かけもおすすめです。

・昨日よりうまくなったね
・前よりできたね

また、寝る前に「大好きだよ」と伝えることも、子どもに安心感と自己価値を感じさせる大切な習慣です。

こうした日々の小さな言葉かけが子どもの心を支え、自信を育てていきます。

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子どもへの言葉かけのNG例

落ち込むママとパパ
子どもへの声かけのなかには、悪気がなくても自己肯定感を下げてしまう言葉が含まれていることがあります。

比較や否定、性別による決めつけは子どもの心に小さな傷を残すことがあります。

やりがちなNG言葉とかけ方の改善ポイントをわかりやすく解説していくので、「もしかしたら自分もこんな言葉かけをしているかもしれない……」と気付いたら、少しずつ変えていきましょう。

否定する

子どもを注意するときに、つい「〇〇はダメ!」「どうしてそんなことをするの?」と強い口調で否定してしまうこともあるでしょう。

否定的な言葉は行動を正すどころか、自分はダメな子なんだと子どもの心に刻まれてしまうことがあります。

特にできない子や悪い子など、子ども自身を否定する言葉は自尊心を深く傷つける原因になります。

注意を伝えるときは「〇〇した方がいいと思わないかな?」など、考えるきっかけを与える表現に変えてみましょう。

また、行動を制止する際も「走らないで!」より「ゆっくり歩こうね」と言い換えることで、子どもは前向きに受け止めやすくなります。

否定ではなくポジティブな伝え方を意識することが、自己肯定感を育てる第一歩です。

誰かと比較する

不機嫌
子どもへの声かけで気をつけたいのが「〇〇ちゃんはできるのに」「△△くんの方が上手だね」などの比較の言葉です。

このような表現は、子どもに自分はダメなんだと感じさせ、自己肯定感を下げてしまう原因になります。

他者ではなく過去の自分と比べる声かけを意識するといいでしょう。例えば「前よりうまくなったね」「昨日より早く走れたね」と伝えることで、子どもは自分の成長を実感できます。

外見や性別

身長や身体の大きさなど、外見に関する言葉かけはたとえ悪気がなくても子どもの心を傷つけてしまうことがあります。

また「男の子なんだから泣かないの」「女の子なんだからおしとやかにね」などの性別による決めつけもNGです。

「泣きたいときは泣いてもいいよ」「思ったことを話してくれてうれしいよ」と受け止める声かけが子どもの心に安心感をもたらし、自分らしさを大切にする力を育てます。

怖がらせる

「いうことを聞かないなら帰るよ」「早くしないと鬼が来るよ」など、恐怖で行動を促す言葉かけは避けましょう。

大人にとっては一時的に効果があるように見えても、子どもにとっては強い不安や恐怖として残り、自主的に考える力を奪ってしまいます。

子どもが安心感を持って行動できるように促すには「どうしたらうまくいくかな?」「一緒にやってみようか」と前向きな言葉を使うのがいいでしょう。

強制する

怒るママ
「早くしなさい」「ママの話を聞きなさい」などの命令口調の言葉かけは、子どもにとって恐怖を感じさせてしまうことがあります。

なぜ叱られているのか理解できないまま、怒られるのが怖いからいうことを聞くという受け身な行動につながる場合も少なくありません。

危険な行動をしているときや緊急時など、命を守るために強い口調が必要な場面もあります。

しかし日常のなかでは頭ごなしに命令するのではなく、どうしてそうしてほしいのか理由をきちんと伝えることが大切です。

先取りする

子どもが一生懸命言葉を探して話そうとしているとき「紙が欲しいの?じゃあママが持ってくるね」と先に答えてしまう場面は少なくありません。

大人から見ると親切で優しい対応に見えますが、実は子どもの自分で伝えたい気持ちを遮ってしまう行為でもあります。

子どもが話すのを待たずに先に言ってしまうのは、子どもの気持ちを理解していると思い込んでいる場合もあります。

しかし本当は、大人が家事を早く片づけたい、子どものゆっくりした話を待てないなどの焦りが原因であることがほとんどです。

急がず、子どもの言葉を信じて待つ姿勢を意識しましょう。

難しい言葉を使う

子どもに声をかけるときは、難しい言葉や専門的な言葉を避け、理解しやすい表現を使うことが大切です。

子どもの表情や反応をよく見ながら、理解していなさそうなときは優しい言葉に言い換えるよう意識しましょう。

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子どもに注意する場合の言い換え例

落ち込むママ
つい「もう!」「ダメでしょ!」と叱ってしまい、後から「言いすぎたかも…」と罪悪感を抱く保護者は少なくありません。

叱ること自体が悪いわけではありませんが、大切なのは言い方を少し工夫して、子どもが前向きに受け止められるようにすることです。

例えば「走らないで!」よりも「ゆっくり歩こうね」と伝えると、禁止ではなく次の行動の提案になります。

夜なかなか寝ようとしないときも「早く寝なさい」ではなく「今日はどの絵本を読もうか」「明日元気に行けるようにそろそろ寝ようね」と声をかけると、穏やかに眠りにつけるかもしれません。

禁止ではなく、行動を促す言葉に言い換えることで、子どもの自己肯定感を守りながらしつけができます。

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子どもの年齢別の言葉かけのポイント

声掛け
子どもの成長にあわせた言葉かけは、自己肯定感を育てるうえでとても大切です。

しかし、「この月齢ではどう接したらいいの?」と悩む保護者もいるのではないでしょうか。

年齢ごとの特徴を理解し、子どもに合った関わり方を見つけていきましょう。

0~2歳頃まで

0〜2歳頃の子どもは、言葉よりも安心感や共感を通して心を育てていく時期です。

子どもが夢中で遊んでいるときには、無理に声をかけるのではなく、同じ目線に座って様子を見守りましょう。

言葉をかける前に一呼吸おくことで、子どもの思いを感じ取れるようになります。

注意や指示をするときも「ダメ」「いけない」と否定するのではなく「こうしようね」と具体的に伝えることを意識しましょう。

例えば「走らないで!」ではなく「ゆっくり歩こうね」という声かけが効果的です。

子どもが自分で考えて行動できるよう「どうする?」「どれにする?」と問いかけることも自主性を育てる第一歩です。

3~5歳頃まで

3〜5歳頃の子どもは、心も身体もぐんと成長し、自分でやりたい気持ちが強くなる時期です。

3歳頃までは言葉が増えて簡単な会話ができるようになりますが、理解はまだ不十分です。

例えば靴の履き方やハサミの使い方などは、大人がやって見せてから「やってみようか」と促すと、子どもは自信を持って挑戦できます。

4歳頃になると、五感を通して物事を学ぶ力が伸びます。

砂を触ったり、音を聞いたりしながら世界を広げる時期なので「ザラザラしてるね」「いい音だね」などの共感する声かけが大切です。

5歳頃になると、言葉で理解し考える力が育ちはじめます。この時期は子どもの考える力を伸ばすチャンスです。

焦らず、できたことを認めながら「どうしたらうまくいくと思う?」と問いかけ、自主性を育てていきましょう。

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